高機能自閉症、といっても健常の人より賢い、高機能、というわけではありません。一般的に、IQ(DQ)が70以上(平均が100、おおよそ85以上が健常域といわれています)の自閉症のことを「高機能自閉症」と呼んでいます。「高機能」とは、あくまでも知能のことで、自閉度が高い、低いとはまた別のことです。
高機能自閉症とセットにされることもある「アスペルガー症候群」。自閉症と似た特徴を持っていますが、概ね知能・言葉の発達がともに良好ですから、親でさえ気づかないことも多い障害です。高機能自閉症が、特に話し言葉に関しては遅れが顕著なのに、相対するものがあります。周りからは、よい意味では「個性的」「変わった考え方がおもしろい」と受け入れられたり、逆に悪い意味では「変わった子」「自分勝手」と理解されず(それが障害からきているとは周りも想像できないでしょう)、トラブルを抱える人も少なくないと思います。
アスペルガー症候群の人の言葉の特徴として、言葉の意味をきちんと理解できていないので、会話がとんちんかんになってしまうことがあります。
先生「まっすぐ家に帰りなさいよ〜」
生徒「曲がらな、家に帰られへんで」
これは、「まっすぐ」が文字通り「一直線」の意味と受け取り、「寄り道しないで帰りなさいよ」という意味だとは理解できていないのです。(大阪の人は、シャレと勘違いしないでね!)
「ここまでどうやって来たん?」と聞かれると、電車やバスでのできごとや、乗り換えの時間など細かいことまで答えたりします。
これは、「どうやって」という質問の意味が、「何を使って来たか聞いている」ことだと、想像するのが難しいからです。
このように、アスペルガー症候群の人にしろ、自閉症の人にしろ、「想像して」「相手の立場になって」「人の気持ちを考えて」ということが大変苦手ですから、悪気はないのに、太っている人に、「太ってるね。何キロあんの?」と、平気で聞いてしまって、そこでトラブルになることがあります。また、相手が困っていても、そういう感情に気づくのも難しく、嫌がらせのようにとられてしまう場合もあります。
自閉症と同じで、アスペルガー症候群の人もいつも決まった順序などにこだわりを持つ人もいます。決まりや時間をきっちり守ろうとして、自分だけでなく、周りの人が決まりを守らなかったときに厳しく注意する、という場合もあります。注意されたほうはいい気分ではありませんよね。「相手の立場になって」というのが難しいアスペルガー症候群の人ですから、ストレートに、含みなく注意するので、言葉はきつく聞こえてしまうでしょう。もちろん、いじわるで言っているのでも、いばって言っているのでもありません。「これくらいは仕方ないか」と、その場で臨機応変に立ち振る舞うことや、相手が気を悪くする、ということが想像できないために、どうしても言葉は、剛速球、真ん中ストレート!!!になってしまいがちです。
また、アスペルガー症候群の人は「同時に二つのことをやる」ことが苦手です。何かに熱中していると、いくら呼んでも聞こえていません。わざとでなく、本を読んだり、遊びに集中して、本当に聞こえてないのです。
アスペルガー症候群への対処の仕方は、自閉症の対処方法と似通ったことが多くあります。特徴が似ているので当たり前と言ってしまえばそうなのですが。
- アスペルガー症候群の人も、初めて行く場所や、初めてする行動に不安や苦痛を抱えることが多いので、あらかじめスケジュールを、わかりやすい方法で伝えておく、また、変更の場合もあらかじめ伝えておきます。(視覚優位は自閉症もアスペルガー症候群も同じなので、目で見て確かめさせるほうが、より確実です)
- アスペルガー症候群の人は、人の表情や目を見て、相手の気持ちや考えを読み取ることは苦手です。暗黙の了解も理解できません。ですから、話すときは曖昧な言い方や言い回しは避けて、具体的でかんたんに伝えるようにします。「この本どうだった?」と聞くより、「この本、おもしろかった?」と、聞くようにします。「どうしたの?」より、「しんどいの?おなか痛いの?」と、イエス、ノーで答えられる質問の仕方が、答えに迷わなくてよいと思います。
- 話しかけるときはおだやかに。アスペルガー症候群の人に話すときは、「わかりやすい言葉ではっきり」ですが、この「はっきり」はイコール「大きな声」である必要はありません。声の調子だけで怒られていると勘違いし、表情には出なくても、心の中は不安でいっぱいになり、言われていることが理解できなくなる場合もあります。できるだけおだやかに話しかけてください。
- アスペルガー症候群の人は、小学校高学年くらいになると「自分は他の人とは、ちょっと違う」ということに気づいて悩む人もいます。自分が認められたい、と感じる人もいるようです。また、批判や否定的な言い方(「どうしてできないの」「してはいけません」)に敏感なうえ、記憶力がいいので、いやなことが忘れられず、つらい思いで過ごす人もいます。苦手なことより、得意なことを認めて自信をつけさせることは、家庭・学校ともに注意してすべき点だと思います。
ここではアスペルガー症候群のことをより多く書いていますが、基本的な性質は高機能自閉症も同じです。言葉の発達がアスペルガー症候群に比べ、遅れが目立つ子が多いので、違う点といえば「言葉の発達」が挙げられると思います。対処方法は共通です。
